アメリカのトランプ大統領が、自国通貨を安値に誘導しているとして、中国を為替操作国に認定したと発表されました。
これは上海外国為替市場で人民元が対ドルで約11年ぶりの安値をつけたことを受けて認定に踏み切ったものです。
今回は、為替操作国とは何か、認定されるとどうなるのか等、わかりやすく簡単に解説したいと思います。
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為替操作国とは何かわかりやすく簡単に解説!

為替操作国とは、アメリカ財務省が提出する為替政策報告書を基に、アメリカ議会が為替相場を不当操作していると認定した国のことです。
アメリカ財務省では、1988年以降、毎年2回為替政策報告書を提出しています。
この為替政策報告書に基づき、対アメリカの貿易を有利にすることを目的に為替介入し、為替相場を不当に操作している国に対して議会が為替操作国と認定します。
中国のアメリカに対する輸出は、元安ドル高の方が有利ですからね。

アメリカと中国は貿易摩擦でお互いに関税を引き上げる等、貿易摩擦が激化しています。
これに対抗して中国が意図的に為替を操作し、中国の輸出が有利になるように人民元を安値に誘導したと認定されたわけです。
具体的には以下の3つの基準に該当する場合、為替操作国に認定されます。
- 対米貿易黒字が年200億ドル以上
- 経常黒字が国内総生産(GDP)の2%以上
- 為替介入による外貨購入額がGDPの2%以上
2019年5月にまとめた最新の為替報告書では、中国は為替操作国には至らない「監視対象」に指定していました。
しかし、今回中国人民元の相場が約11年ぶりの1ドル=7元台に下げたことで、中国政府が為替操作の意図を明白にしたと問題視しました。
為替操作国認定(指定)されるとどうなる?中国は制裁?

中国は1992~1994年に中国は為替操作国に指定されていました。
これを最後に為替操作国認定はなかったようですので、今回中国が為替操作国に認定されたのは、25年ぶりということになります。
為替操作国に認定されると、制裁対象となります。
しかし、為替操作国認定により、制裁が行われた場合でも、トランプ大統領が既に発動済みの措置ほどは強力ではないということです。
アメリカのトランプ大統領は、新たに中国からの輸入品約3,000億ドル相当に9月1日から10%の関税を賦課すると表明したばかりでした。
これに中国も反撃し、アメリカからの農産物輸入を停止すると発表しています。
貿易摩擦に通貨安戦争・・・、まだまだ治まりそうにありません。
為替操作のやり方は?どうやって市場介入?

アメリカは中国が意図的に人民元安になるように為替操作国に認定しましたが、どうやって市場介入しているのでしょうか?
国際間で取引される通貨のレートを変動させるには、国際取引通貨(通常ドル)を大量に買えば、ドルに対して自国通貨をそのドルを買うときの支払いに当てて市場に出て行ってしまうので、自国通貨が通貨取引市場で増えて、価値が下がります。
つまり、人民元安になるように、ドルを定期的に大量購入し、人民元の価値を下げるということです。
中国以外に為替操作国認定(指定)された国は?日本は?

今回、中国が25年ぶりに為替操作国に認定されましたが、これまでにどこの国が為替操作国に認定されたことがあるのでしょうか?
1980年代から1990年にかけては、台湾・韓国が為替操作国に認定されたことがあります。
1994年に中国が為替操作国に認定されてからは、2000年代に入ってもありませんでした。
しかし、2016年4月29日にアメリカ財務省は為替介入を牽制するために、中国・台湾・韓国・日本・ドイツの5カ国を監視対象とする為替監視リストを発表されていました。
同年10月にはスイス、2018年4月にはインドも為替監視リストに加えていました。
2019年5月には、アイルランド・イタリア・ベトナム・シンガポール・マレーシアを追加し、スイスとインドを除外しました。
まとめ
- 為替操作国とは、アメリカ財務省が提出する為替政策報告書を基に、アメリカ議会が為替相場を不当操作していると認定した国のこと。
- 為替操作国に認定されると、制裁対象となる。
- 国際間で取引される通貨のレートを変動させるには、国際取引通貨(通常ドル)を大量に買えば、ドルに対して自国通貨をそのドルを買うときの支払いに当てて市場に出て行ってしまうので、自国通貨が通貨取引市場で増えて、価値が下がる。
- これまでに、中国以外には台湾・韓国が為替操作国に認定されたことがある。
いかがでしたか?
米中貿易摩擦に加え、為替戦争・・・。
米中の対立がさらに深まりましたが、収束する日は来るのでしょうか?
中国は貿易をドル決済をやめて仮想通貨で決済するようになるのではないか?と囁かれています。
RTかも・・・。
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