2016年に世界経済を揺るがした「パナマ文書」の存在により、世界各国の政治家や企業がタックスヘイブンを利用して租税回避をしていたことが明るみに出ました。
最近、日本でも貴金属商社大手の「ネットジャパン」創業者の吉沢敏行改行が、タックスヘイブンに拠点を置く関連会社をめぐって税務調査を受け、平成26年に所得税約14億円の申告漏れを指摘されていたことが分かりました。
今回は、タックスヘイブンについてわかりやすく解説したいと思います。
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タックスヘイブンとは?わかりやすく解説!

タックスヘイブンは、英語で「Tax Haven」と表記します。
Taxは税、Havenは避難所という意味ですね。
タックスヘイブンとは、課税が完全に免除されたり、著しく軽減されたりしている国や地域のことを言います。
日本語では租税回避地、低価税地域と呼ばれたりしますね。
タックスヘイブンは主に、税制上の優遇措置を地域外の企業に対して戦略的に設けている国や地域を指します。
タックスヘイブンの仕組みは?図解で解説!
タックスヘイブンの仕組みの基本を理解するために、わかりやすいように単純化した例を挙げます。

日本にある親会社「A社」が仕入れ先から仕入れた物を販売先に販売する事業をしていたとします。
例えば、100万円で仕入れて、150万円で販売先に売却したとするなら、利益は50万円ですよね。
これを子会社である「B社」に一旦100万円で売却してから、B社から販売先に150万円で売却したとします。
そうすると、A社の利益は0円となり、B社の利益が50万円になります。
A社の利益は0円なので税金はかかりません。
B社は利益の50万円に対して、タックスヘイブンの低い税率で税金がかかります。
このように、タックスヘイブンに設立した会社を挟むことで、税金が安くなるという仕組みです。
ただし、今回解説した例は仕組みを理解するために単純化したものなので、実際にはもっと複雑です。
タックスヘイブンの問題点は?何が悪いの?

税金を安くするためにタックスヘイブンを利用して何が悪いの?
タックスヘイブンはマネーロンダリングの温床になっており、資産を隠すために利用することが可能であること、戦争を行う国に巨額の資金が渡ってしまう可能性があることが問題点だと指摘されています。
また、タックスヘイブンに資金を移すことで、本来なら自国に納税されるはずだった税金が課税されず、自国の税収減につながるという問題点もあります。
タックスヘイブン税制対象国一覧!香港は?

では、タックスヘイブン税制対象国は具体的にどこなのでしょうか?
一覧にまとめました。
- シティ
- マン島
- アイルランド
- ジャージー島
- ガーンジー島
- オランダ
- ベルギー
- ルクセンブルグ
- アンドラ
- オーストリア
- スイス
- リヒテンシュタイン
- モナコ
- ジブラルタル
- キプロス
- リベリア
- ソマリア
- セーシェル
- モーリシャス
- バーレーン
- ドバイ
- 香港
- マカオ
- シンガポール
- マレーシア
- マーシャル諸島
- ナウル
- クック諸島
- サモア
- ニウエ
- トンガ
- バヌアツ
- ニューヨーク
- バミューダ
- ケイマン諸島
- タークス・カイコス諸島
- バハマ
- ドミニカ
- ヴァージン諸島
- パナマ
- オランダ領アンティル
- ウルグアイ
細かい物を含めてこんなにあります。
日本の法人税率は30%ですが、ドバイやアンギラ等では法人税率0%です。
稼いだ分全て懐に入ってきます。
国税庁のタックスヘイブン対策税制とは?

日本の居住者や内国法人が、タックスヘイブンに子会社等を設立して、子会社等を通じて取引を行うことで、租税負担を軽減したり、回避したりする行為に対処する目的で、国税庁はタックスヘイブン対策税制を導入しています。
平成29年度税制改正以前は、外国関係会社が租税負担割合20%未満の国・地域にある場合に、日本の居住者や内国法人は、その外国関係会社の所得を持分割合に応じて自らの所得に合算して日本で課税されていました。
しかし、平成29年度の税制改正では、20%以上(30%以上の場合は除く)であっても、ペーパーカンパニー等、「特定の外国関係会社」に該当する場合には、会社単位での合算課税が適用されることになりました。
また、当該税制の対象となる外国関係会社の判定における「適用除外基準」について内容の見直しが行われ、「経済活動基準」として新たに定義付けされました。
さらに、「適用除外基準」を満たす場合でも外国関係会社が「資産性所得」を有している場合には、合算課税(部分合算課税)がなされていましたが、部分合算課税の対象が、「資産性所得」から「受動的所得」となり、その範囲が拡大されました。
まとめ
- タックスヘイブンとは、課税が完全に免除されたり、著しく軽減されたりしている国や地域のことを言う。
- タックスヘイブンに子会社を設立し、子会社を経由させることで、税金が安くなるという仕組み。
- タックスヘイブンはマネーロンダリングの温床となっており、資産を隠すために利用されたり、戦争を行う国に巨額の資金が渡ってしまう可能性があるという問題点がある。本来なら自国に納税されるはずだった税金が課税されず、自国の税収減にもつながっている。
- タックスヘイブン税制対象国は実がかなり多い。ドバイやアンギラ等では法人税率は0%である。
- タックスヘイブンに子会社等を設立し、子会社等を通じて租税回避することに対し、国税庁はタックスヘイブン対策税制を導入している。(詳しくは当記事の中身を見てね!)
いかがでしたか?
今回タックスヘイブンについて色々調べましたが、ドバイとかマレーシア、シンガポール等に移住している日本人は、税金が安いから移住している人が多いかもしれませんね。
例えば、与沢翼さんはドバイに住んでいますし、GACKTさんも現在マレーシアを拠点として活動しているようですしね。
捕まった青汁王子もタックスヘイブンへの移住を公言していましたね。
まぁ、でもこの人は与沢翼さんみたいに普通に復活しそうな感じがしますけどね。
日本は海外での資産運用に対して今後監視を強化していくのでしょうね。