政治・経済

一票の格差とは何かわかりやすく解説!違憲とされる理由や解決策は?

選挙男性
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あなたは「一票の格差」を理解していますか?

分からないという方も、ニュースや新聞等で耳にしたことはあるはずです。

今回は、一票の格差とは何かわかりやすく解説したいと思います。

違憲とされる理由や解決策にはどのようなものがあるのでしょうか?

一票の格差とは何かわかりやすく解説!

解説する男性

選挙の時には、小選挙区または都道府県選挙区毎に定数の議員を選出しますが、選挙区毎の人口が大きく異なり、都市部への人口流入も続いており、例えばX選挙区では有権者が100万人いて当選議員(議員定数)1人なのに対し、Y選挙区は人口50万人で当選議員(議員定数)1人という状況となっています。

X選挙区もY選挙区も得票率が50%で当選すると仮定すると、X選挙区の議員は50万票獲得しないと当選出来ないのに対し、Y選挙区ではその半数の25万票で当選できてしまうのです。

これは言い換えれば、有権者の多いX選挙区では、有権者1人の投票の実質的な影響力は、Y選挙区の有権者の2分の1しかないことになります。

このように、投票価値の不平等がが生じることを「一票の格差」と言います。

一票の格差の計算方法は?

上昇男性

先程の例では、単純計算で、定員は1名ですから、X:Y=50:25=2:1となります。

つまり、X選挙区とY選挙区の1票では2倍の差があります。

Y選挙区の1票の方が価値が大きいわけです。

よくニュースでこのように報道されますね。

「今回の選挙では、〇〇1区と〇〇2区では最大で〇倍の格差がありました。」

あなたも聞いたことがあると思います。

1票の格差の計算方法は、有権者数÷議員定数で表現されます。

先程の例ではX選挙区とY選挙区の1票の格差は2倍となります。

X選挙区の議員定数が2人、Y選挙区で1人だと格差はありません。

一票の格差が違憲とされる理由は?問題点は?

ダメ女

2019年7月の参議院選挙では、選挙区により議員1人当たりの有権者の数に最大で3.002倍の格差がありました。

弁護士グループは、「投票価値の平等に反し、憲法に違反する」として、選挙の無効を求める訴えを全国で起こしました。

憲法14条はこのように定められています。

第十四条

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。華族その他の貴族の制度は、これを認めない。栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

引用:Wikipedia

憲法14条には、全ての国民は「法の下に平等」だと定めています。

一票の格差はこの憲法14条に反しているという主張ですね。

この一連の裁判で、2019年10月16日、高松高等裁判所で初めての判決が言い渡されました。

裁判長の判断は以下の通りです。

今回の格差は常識的に考えて許容し難く、一昨年の衆議院選挙の1.979倍に比べ大きく劣っていることや、国民の権利意識が強くなっていることなどを考え合わせると、違憲の問題が生じる程度の投票価値の著しい不平等状態にあった。

違憲状態だったという判断を示しました。

前回の選挙の後、埼玉選挙区の改選議席を1議席定員を増やしたことについては、「間に合わせのびほう策にすぎない」と指摘しました。

一方で、今回の選挙の最大格差は前回よりも緩和したことなどを考慮し、選挙の無効は認めませんでした。

一票の格差問題の解決策(是正方法)は?

女子高生

では、一票の格差問題の解決策(是正方法)はあるのでしょうか?

一票の格差問題の解決策として、提案されているのがアダムズ方式です。

アダムズ方式とは、選挙区の議席配分方法の1つです。

現在の制度との大きな違いは、あらかじめ割り振りされていた1議席を配分しないことです。

その分、人口比を反映しやすくなるという特徴があります。

この方式を導入すれば、人口が少ない都道府県では議席が減り、逆に、人口が多い都道府県では議席が増えます。

この方式を導入すれば、一票の格差は最大でも1.788倍~1.621倍に改善されると予測されています。

また、アダムズ方式を導入する以外にも、小選挙区制自体の見直しも必要です。

小選挙区制では、その選挙区から当選するのは1人なので、「死票」が多くなります。

死票とは?

選挙で、当選者の決定に結びつかなかった票。

特に、選挙区で、落選候補に投じられた票。死に票。

2014年の衆議院議員選挙では、総得票のうち約半数が死票となり、既存の政党に有利となりました。

そのため、新しい政党や人材の政界への新規参入を阻害していると言えます。

中選挙区制であれば、死票が減り、1票の格差も縮小し、有権者の声がより反映されるようになります。

一票の格差の是正をきっかけにして、小選挙区制の見直しについても考える必要があるのではないでしょうか。

まとめ

要約リスト
  • 一票の格差とは、有権者の多い選挙区では、有権者1人の投票の実質的な影響力が低くなり、投票価値の不平等が生じること。
  • 一票の格差の計算方法は、有権者数÷議員定数。
  • 憲法14条には、全ての国民は「法の下に平等」だと定められており、一票の格差は憲法14条に反しているとされる。
  • 一票の格差問題の解決策として、アダムズ方式や小選挙区制自体の見直しがある。

いかがでしたか?

選挙に行かない人は「一票の格差」と聞いても完全スルーでしょうが、選挙に行く人は、気になっていたのではないでしょうか?

一票の格差の意味は今回で分かったと思いますので、今後投票に行った際は、一票の重さを感じることができるのではないでしょうか?

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